オリジナル駄文[短編]
□所謂これも一つの王道
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ここは全寮制男子校。
……そう。“全寮制”尚且つ“男子校”だ。
しかも生徒は金持ちの子供ばっかりときたもんで、育ちの良さそうな美少年が盛り沢山だ。
あ、言っておきますけど決して俺は変態ではないですよ。
ただ、目の前で可愛らしいチワワがちょろちょろしていて癒されてたり、それを見て心配そうにしている爽やかくんやら一匹狼なんかにhshsしているだけで……
「それを変態と言うんじゃないかなぁ…」
「俺は男が好きな訳じゃない。ボーイズがラブラブしてるのが好きなんだ。だから変態というわけではなくてだな…」
いつの間にか背後に委員長が立っていた。
「…て、俺の心を読むとは…委員長…侮れん」
「いやいや、それほどでも」
にっこりと笑う委員長。
黒縁眼鏡をかけた委員長は見た目平凡寄りで、実は腹黒い。
しかし眼鏡の下はイケメソという王道設定付きだったりする。
その設定を生かして、可愛いチワワもしくは王道転校生あたりに攻めっぷりを発揮するか、王道生徒会の俺様生徒会長とかににゃんにゃんされてしまえばいいと思うよ、俺は。
「チワワも会長も遠慮しとくけど…転校生にならその美味しい設定とやらを遺憾無く発揮してもいいかな」
「っ!?」
委員長はこともあろうに、俺の首筋を人差し指でなぞりつつ耳に息を吹き掛けた。
「べっ別の!もう一人の転校生でお願いします。ついでにまた人の心を読むな!!お前はエスパーか!旅行バックに詰めてやろうか」
「あ、チャイム」
俺の訴えをまたしても笑顔で受け流し、委員長は次の授業開始のチャイムと共に自らの席へと戻っていってしまった。
ああ…確かに俺も転校してきたことには間違いはない。
委員長半分正解。
しかし俺と同時期に転校してきた王道くんもいた訳で…。
傍観者を決め込むつもりが予想外におかしなフラグを立ててしまったようだ。
前方に座る委員長の後ろ姿に恨めしそうな視線をぶつけてやれば、視線に気付き委員長は口元だけ笑みを浮かべてみせた。
その一瞬で絆されそうになったなんて気のせいだ。
俺の傍観者ライフはこれからなんだ。
邪魔されてなるものか。
フラグをいかに折るかを考えつつ、太陽の暖かい陽射しと呪文のようでありつつ子守唄にも変わる授業を聞きつつ、心地好い眠気に身を任す。
腐男子歓喜の傍観ライフはまだ始まったばかりだ――