二次創作駄文

□一番星
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時刻はもう夜中だというのに、外は町の光に照らされていた。
シモンは総司令室の電気も付けずに、窓から町の象徴となっているカミナの像を眺めた。
そして、カミナの像が指差す空へと視線を移す。
町の明かりが空を照らして、空の光は弱々しい。
それでもシモンはカミナの像が指差す一点を見つめ続けた。

「ぁ…あった」

カミナの像が指す指の先に町の明かりにも負けない光を放つ点があった。
初めて地上に出て初めて見た夜空が、今見る夜空と重なった。
シモンはその輝き続ける一点を瞬きもせずに眺め続ける。

まるで時が止まったかのような静寂は、総司令室の部屋が明るくなったことで終わりを告げた。

「総司令…いたのなら明かりくらいつけてください」
「ロシウ…」
「はい?」
「俺、アニキの星見つけた」
「……星なんて見てないで仕事してください。溜まってますよ」
「分かってるって」

渋々シモンは机に向かい、放置していた書類に目を通す。
それを見届けると、ロシウは今までシモンが眺めていた方角を見た。
カミナの像が指差す方角に一点だけ力強く輝く星があった。

「僕らを見守ってくれているんでしょうか…」
「え?何か言ったか」
「いえ」

もう一度だけ、星とカミナの像を見て、そしてシモンへと視線を移した。
ロシウは僅かに苦笑すると総司令室を去って行った。


窓の外には、人一倍自らを主張しているかのような星が輝いていた。
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