07/18の日記
10:00
ムードクラッシャー
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※現代パロ(高校生です)
「2人で帰るのなんて久しぶりだね」
「おい、あんまりスピードだすなよ」
自転車の後ろに乗っていた絳攸が諫める。
楸瑛の引き締まった体躯にゆるく廻されていた腕に力がはいり、背中に絳攸の少し高めの体温を感じた。
それだけで心が弾み、また少しスピードを上げる。
ここ一週間、楸瑛は剣道部の主将として、絳攸は図書委員としての業務がそれぞれに忙しく、すれ違う日々が続いた。
県予選は終わったが、これから始まる全国大会までの間、また絳攸とすれ違う日々が続くことは容易に予想がつく。
クラスは一緒だが、一秒でも長く絳攸と時間を共有していたかった。
きっと絳攸もそう思っていてくれているのだろう。
家には向かわず、少し遠回りしているのに何も言わず黙って付き合ってくれている。
少し小高い丘にある公園に自転車を停める。
そこは都会の街が一望でき、楸瑛と絳攸のお気に入りの場所だった。
「絳攸。見て、綺麗だね」
昼間は厚い雲に覆われていた空だが、夕方になり雲もだいぶ薄くなっていた。
その雲の切れ間から夕日が差し込み、光の筋が幾重にも重なり、幻想的な光景を映し出していた。
それはまるでバロック様式の宗教絵画のようで、美しい光線に沿って、今にも至高の存在が天から光臨してきそうなほどの神々しさに満ち溢れていた。
ふと隣の絳攸を見る。彼も自然が作り出した、偶然の芸術に瞳を奪われていた。
一週間ぶりに見る絳攸はやはり美しかった。
夕日を受けて綺羅綺羅と輝く銀糸の髪や、潤んだ瞳がいつでも自分の意識を容易に絡めとる。
「すごく神秘的だね。まるで私たちを祝福してくれてるようだ」
「ああ、チンダル現象か。
不規則に多くの粒子が存在する濁っている媒質中を強い光が通過した時、光路が散乱光のために光って見える現象だな。
塵を多く含む空気なのだろう。東京の大気汚染があんな形で目に見えるなんて皮肉なもんだな。
・・・・ん?どうした楸瑛」
「絳攸のバカ!(泣)」
「???」
※ ※ ※ ※ ※
乙女楸瑛。でも攻めですよ(^v^)
天然でムードを壊す絳攸を書きたかったのです。
これ半分実話です。
杏が高校生の時、友人と目の前に広がる自然の美しさに感動していたら、たまたま通りがかった化学の先生が理論的に説明してくれて感動が台無しになりました。
化学はさぁー、夢がないよ、夢が。
しかもチンダル現象とか、間抜けな名前なのが切ない。
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