Short Story Byツバメ

□言うなれば彼は雨
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「よ。」
榛名くんはいつも約束の時間の2分前に来る。なぜいつもきっちり2分前なのか不思議なくらい。
私はと言うと、いつも約束のきっかり15分前に来ている。そしていつもの待ち合わせ場所で待つのだ。榛名くんが来るまでの13分間、榛名くんのことだけを想って。

待ち合わせの場所は地元の駅の自販機の隣といつの間にか決まっていた。

付き合いだして半年。野球部は練習が厳しいから、あんまりデートらしいデートが出来ないけどそこまで気にしない。私にとっては榛名くんの試合の応援もデートみたいなものだし、あまりデートが出来ない分、こうやって一緒にいる時間が大切で幸せ。

「晴れたな。」

空を見上げながら榛名くんは悔しそうに呟く。私はえへへと嬉しくなった。

私はよく覚えてないんだけど、榛名くんが自分は雨男なんじゃないかって落ち込んでた時、私はこう言ったらしい。

「私、遠足とか入学式とか大事な行事、1回も雨に降られたことないの。すーっごい晴女なんだ。だからこれからは榛名くんの大事な時は私の晴女パワーで雨なんか降らせないから!」

その時の太陽のような笑顔と言葉に惚れたといつも榛名くんは言う。

「ほら。」
榛名くんが出した左手を私はぎゅっと握る。榛名くんの体温が手のひらを通して伝わる。
「くそー、今度は雨降らせてやるからな!」
あんなに雨男を嫌がっていたはずなのに今ではまるで榛名くん〓雨、みたいに雨を降らせようと頑張っている。その姿が子供みたいで私はいつも声を出さずに静かに笑う。

榛名くん。君は雨を嫌っていたみたいだけど私は好きよ。榛名くんは雨。静かに優しく私を包み込んでくれるから。
それに二人でひとつの傘を使ったらもっと距離が近くなるでしょう?

今のところ3勝2敗。私はいつの間にか折りたたみ傘をいつも持ち歩くようになっていた。
榛名くん、次のデートはどっちが勝つかな?

願わくば、明日は雨が降りますように。








〜fin〜









ひとりごと。
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