桜舞う木の下で

□桜舞う木の下で〜2章〜
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次の日も暖かい日だった。
今日も僕はカメラを手にあの公園に来ていた。


昨日一番奥の桜を撮り忘れたのと、あの女の子のことが気になっていた。



「…あれ?」

今日も暖かいせいか早咲きの桜は満開だ。

フレームを覗き込むと桜の木の下に見覚えのある女の子がいた。

「…昨日の子?」

思うよりも先に足が動いていた。
一歩一歩近づいていくが、彼女は気付かない。

木の下に座ってぼーっとした様子で桜を見上げている。


満開の桜に寄り添う彼女がまるで天使か妖精のように綺麗で…幻想的だった。

僕は思わずシャッターを切った。

―カシャッ―

「…!?」

突然のシャッター音に驚いた様子で彼女は僕を見た。

「あ…ごめんね。あまりに綺麗だったから。」

「ううん。桜綺麗だもんね。」

彼女はにっこりと微笑みながら言った。

君のことなんだけどな―なんて思ったけど心に閉まっておこう。

僕は彼女の隣に腰を下ろした。

「フフッ。ここにはよく来るの?」

「うん?昨日久しぶりに来たの。
前に良く来てたんだけどね。
あなたはよく来るの?」

「ううん。実は僕も昨日久しぶりに来たんだ。」

「そうなんだ!」
どうやら僕の笑みの真意がわからないようで不思議そうに答えてくれた。

でも…まるで昨日とは別人みたいだと思った。

桜を見る姿は大人っぽく儚げにも見えた。
でも話してみると無邪気で明るい子なんだとわかった。
初対面にあるぎこちなさが全くない。

クラスに1人はいるような気さくな子みたいだ。


「なんか、初めて会った気がしないな。
初対面でこんなに話が弾むなんて。」

「あはは!私、初対面とか気にしないでバンバン話し掛けちゃうから誰とでも仲良くなっちゃうんだ。」

彼女は笑いながら言った。僕もつられて一緒に笑った。


彼女は本当に不思議な子だった。
初対面じゃないような気がしてくる。
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