夢が寝る中庭

□プロローグ
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時計の針がもうすでに真夜中の3時を指そうとしている頃に、雨の降っている町を窓越しに見つめる少女が一人いた。

その少女の周りの部屋は血の海となって、内臓が取り出された死体が床に転がっており、壁や家具にも血が大量に付いている。

雨を見つめる少女は自分にしか聞こえないように、ある小さな詩を呟いた。





割れた硝子
破壊の証は
目の前にあり
苦しみの果て
涙が枯れて
二度とも無き

空は闇色
黄金色の星
紫の謎
漆黒の翼
残された羽は





その響きが悲しみに包まれ、泣いているかのように見える少女は窓を開け、前髪で見えることの出来ない顔を灰色に染めついた空に向けた囁いた。

『愛情を知っちゃいけない、傷つくだけでまた同じ悲劇を繰り返してしまうだろうから。』

顔に落ちた雨の雫が、まるで少女が流した涙かのように見えた。







凄い勢いでベッドから起き上がって完全に覚醒していない頭で鏡の前に立った。

「くそ、またこの夢か・・・ ・・・っ」

鏡に映る顔を見れば、涙を流した跡があった。
 

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